ÉKRITS(エクリ)は、2015年1月からOVERKASTが運営しているメディア出版事業。「デザインの思想をテキストでデザインするメディア」として、オンライン上にテキストをアーカイブしながら、そのコンテンツを書籍として出版したり、ポップアップイベントを開催したりしてきました。ÉKRITSでの思索や編集の経験は、OVERKASTが実施するブランディングにも生かされています。

ÉKRITS — Shaping design as thought in designed writing

ÉKRITSというメディア名は、「書かれたもの」を意味するフランス語(écrits)の”C”を、OVERKASTの”K”に書き替えたもの。その名のとおり、ÉKRITSはデザインと交差する広範囲の領域からテキストを集めアーカイブしていく目的の元、2014年からプランニングをはじめたプロジェクトでした。その翌年にローンチして以来、ÉKRITSはメディアプロジェクトであると同時にデザインプロジェクトとして、今もその可能性を広げています。

思想がデザインされたテキスト

デザインには直観が必要になる場面が多いと感じます。また、その直観を支えているのは、文字通り世界を直に観る思想だとも考えていました。しかし、デザインのおもしろさでありむずかしさは、そういった思想を直訳しても強度の高い表現にはならないところです。だから、デザインの思想とは、表現される「オブジェクト」の意匠や、それを支えるコンセプトや構造を説明する「テキスト」に宿るのだと考えるようになりました。

ÉKRITSの発行人であり編集長の大林自身も、さまざまなデザインプロジェクトに関わりながら、そのクリエーションの根底にある思想のようなものを言語化してきました。しかし、もっといろんな表現者のテキストを集めてアーカイブすることで、さらにデザインの思想の原型が立ち現れてくるのではないかという想いが強くなり、このメディアを立ち上げることになったのです。

テキストに対応するオブジェクトのデザイン

ÉKRITSは、デザインに関するメディアプロジェクトである前に、デザインプロジェクトであると考えています。だから、Webサイトや書籍からイベントのフライヤーまで、アウトプットとなるすべての「オブジェクト」のデザイン性を重視しています。ここで言うデザイン性とは、機能要件を満たしつつ、意匠として新しい価値が提示できていることを指しています。

また「テキスト」はオブジェクトを補完するものであり、これ自体もオブジェクトとして独立しているものと考えています。ÉKRITSの記事で言えば、テキストの読みやすさとレイアウトの美しさを兼ね備えた状態で、オブジェクトとして提示されている。それと同時に、記事の内容となるテキストが世界について語ることで、オブジェクトのあり方を示している。たとえば、何かイベントをするとしても、必ずその空間にはオブジェクトがレイアウトされていて、そのオブジェクトを補完するテキストが用意されているのです。

このようにオブジェクトとテキストがセットになって関係しあっていることが、ÉKRITSのアウトプットの基本構成となっています。

テキストから書物、空間へ

書籍事業は、ÉKRITSがローンチ当初から手がけていたもので、電子書籍の『Intertwingled』を皮切りに、さまざまなメディアで話題にしていただいた『学習まんが アフォーダンス』と『学習まんが 記号とアブダクション』、ÉKRITSの記事を紙の本で提供するシリーズ『エクリ叢書』、上妻世海『制作へ』を出版してきました。

またÉKRITSでは、実空間での選書やポップアップストアも展開しています。2019年に港区六本木の「文喫」の研究室スペースにて、ÉKRITSの執筆者による選書とアパレルの展示販売をおこなうポップアップストア「ÉKRITS ROPPONGI」を開催。ほかにも書店にて選書をおこなったり、ブックフェアでの展示販売などの活動をおこなってきました。

こうしてÉKRITSの活動を振り返ってみると、運営開始当初は想像もしていなかった展開をしているのですが、デザインとアーカイブをテーマにして、その中心にテキストがある構造は、今も変わらないのです。

Scope of work

Planning
Media Publishing
Concept Making
Creative Direction
Information Architecture
Project Management
Content Editing
Web Development

Team

Planning, Publishing, Editing, Concept Making, Creative Direction, Information Architecture: Hiroshi Obayashi (OVERKAST, Inc.)
Tech Support: Tetsuo Endo (OVERKAST, Inc.)
Art Direction, Interface / Visual Design: Tomoki Tachibana (Shed, Inc.)
Art Direction, Logo / Typeface Design: Makoto Kamimura (Kamimura & Co. Inc.)
Administration, Information Architecture, Editing: Noriyo Asano
Editing, Tech Support: Kanako Fukiage
Creative Direction: Yuuka Kurihara
Assistant Direction: Namino Sakama
Web Development: Atsushi Akiyama
Web Development: Takanari Sunouchi

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