Qosmo(コズモ)は、アルゴリズムを用いたデザインやデータビジュアライズなどによって、音楽作品や映像、インスタレーションなどのメディア作品の表現をおこなうクリエイティブ集団。QOSMOが10周年を迎え、オフィスが移転したタイミングで、OVERKASTはコンセプトとWebサイトの再設計を実施しました。

QOSMO — Cultivate The Chaos

このプロジェクトにおいて、OVERKASTは初期段階のコンセプト設計から情報設計までをお手伝いすることになりました。最初の打ち合わせでは、Qosmo代表の徳井直生氏が制作したジェネレーティブフィルム『The Ship』についての話を皮切りに、ブライアン・イーノの話題で盛り上がりました。大林もかねてよりコンセプトメーカーとしてのイーノに強い影響を受けてきたので、まずはイーノ関連作品を並べてプレイリストを作成するところから、このプロジェクトははじまったのです。

QOSMO website designed by Shed, Inc.

カオスの再定義

今回のリニューアルのコンセプトを考えるにあたって、わたしたちはQosmo(コズモ)の社名の由来である「コスモス」の対立概念である「カオス」を再定義することからスタートしました。
 
一般的なクリエイティブにおけるカオスのイメージは、人間の秩序によってアルゴリズムをコントロールし、そこにカオスを作り出して偶然性を呼び込むチャンスオペレーションのようなものだと思います。しかし、パウル・クレーによると、こうした対立概念としてのカオスは、人間の意志で決められた図式だそうです。
 
これにしたがうと、本当のカオスはどうやっても測ることができないもので、もちろんアルゴリズムによって弾き出された予測できない結果でもありません。クレーが考える真のカオスとは、数学における点のような、無に近い、存在しないかもしれない非概念だと言います。つまり、アルゴリズムと同じように、人間の手仕事もテクノロジーであり、偶然を呼び込む諸原因になるのです。

エントロピーをサーフィンする

ブライアン・イーノがインタビューで語った「surf on entropy」という言葉に、徳井さんは感銘を受けたと言います。イーノが言っていたのは、複雑さが増していく世界において、完全に制御された状態(コスモス)と果てしないカオスの中間にあるものがもっとも興味深くなるということでした。主体と客体が入れ替わり可能で、能動と受動のどちらでもあり、コントロールできることとコントロールできないことが同時にある場所。イーノが「surf on entropy」という言葉で伝えたかったのは、その場所で発生するエントロピーをサーフィンするように乗りこなす身体感覚だったのだと思います。
 
クレーとイーノのカオスに関するアイデアはとても似ており、いずれもQosmoのクリエイティブの考え方に通じるものだと感じました。カオスはアルゴリズムの向こう側にあるのではなく、わたしたちとアルゴリズムの中間にある。わたしたちが作ったアルゴリズムによって、わたしたちもつくられる。わたしたちがアルゴリズムになると同時に、アルゴリズムもわたしたちになる。そこから生まれたのが「Cultivate The Chaos」というコンセプトでした。

コンセプトを体現したデザインプロセス

「Cultivate The Chaos」という言葉は、Qosmoがクリエイティブを生み出すプロセスを表しています。カオスを掘り起こし、耕し、養うこと。人間と人間ではないアルゴリズムとが手を組んで、お互いに影響を与え合いながら、カオスを育んでいくこと。このプロセスを準備・計画し、プロトタイピングする環境をつくること。これをわたしたちのパートナーでもあるアートディレクターのShed橘さんにも共有し、ブランドデザインに落とし込んでいきました。
 
アウトプットは、リニューアルされたWebサイトと今回のコンセプトを体現したブックレット。またWebサイトに掲載するコンテンツは、ÉKRITSのメンバーで編集をおこないました。ブックレットにはコンセプトのテキスト全文が掲載されているほか、本プロジェクトのサウンドトラックとして作業中のBGMにもしていたSpotifyのプレイリストの曲表とQRコードが付いています。

Scope of work

Concept Making
Copywriting
Creative Direction
Information Architecture
Content Editing

Client

Qosmo, inc.

Year

2018–2019

Team

Concept Making, Creative Direction, Information Architecture: Hiroshi Obayashi (OVERKAST, Inc.)
Content Editing: Kanako Fukiage
Art Direction, Design: Tomoki Tachibana (Shed, Inc.)
Design: Kotono Tsuruta (Shed, Inc.)
Web Development: Yuya Honda (Shed, Inc.)

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